─ オーガニックコラム ─

農薬について、学びましょう!

ポストハーベストを知っていますか?

ポストハーベストを知っていますか?

ポストハーベストを知っていますか?

収穫後の農産物に使用する農薬(殺菌剤や防カビ剤など)のことです。
ポストは「後」、ハーベストは「収穫」という意味です。

なぜ、収穫後に農薬が必要なのでしょう?
それは農産物の貯蔵や輸送の間に害虫やカビが発生してしまう可能性があるからです。とくに遠く海外から船で運ばれる農産物は輸送中に品質が落ちてしまう危険性がとても高いので、ポストハーベスト農薬が必要です。

ポストハーベストで使用される農薬は、農場で使われる農薬の数百倍も濃いといわれています。農作物の表面だけでなく、中まで浸透してしまうものもあります。

フードマイレージとは?
フードマイレージという言葉があります。食料の輸送量と輸送距離を定量的に表した数値ですが、世界各国の中で日本がダントツの一位です。輸送に伴い二酸化炭素の排出量が多くなり、地球環境に与える負荷が大きくなるという考え方ですが、二酸化炭素だけではなくポストハーベスト農薬の使用が大きな問題です。

外国の畑で収穫されてから、日本のスーパーの店頭に並ぶまで数か月の間、変質することなく、みずみずしい鮮度を保っている。輸送の途中、熱帯地域では高温に長期間さらされるにもかかわらず、腐らない、カビも生えない。このようなことは、普通、あり得ないことです。ポストハーベスト農薬の成せるワザです。

 

小麦のポストハーベスト

小麦を例にとってみますと、日本で1年間に消費される小麦の量は、約630万トン(2009年度)で、世界でも有数の小麦消費国です。小麦消費量のうち、国内産小麦はおよそ15%で、残り85%は外国産小麦です。ポストハーベスト農薬は国産小麦には使用されていませんが、外国産小麦には使用されています。年間約530万トン余りの外国産小麦にポストハーベスト農薬が使用されていることになります。したがって、健康を考える上で、ポストハーベスト問題は重大な関心事です。

輸入小麦に使用されるポストハーベスト農薬

過去の調査データによれば、日本市場の小麦粉や小麦粉製品には残留農薬がかなりの頻度で検出されており、それもマラチオン(マラソン)、フェニトロチオン(スミチオン)といった有機リン系の殺虫剤に集中しています。
有機リン系の殺虫剤には下記のような毒性があると指摘されています。

 1. 発がん性
   体内にがん(悪性腫瘍)を発生させる恐れのある性質。

 2. 催奇性(さいきせい)
   生物の発生段階において胎児に奇形を生じさせる性質。

 3. 変異原性(へんいげんせい)
   生物の遺伝情報(DNAあるいは染色体)に変化をひき起こす性質。

 4. 生殖毒性
   成人の生殖機能および受精能力や胎児などに悪影響を及ぼす性質。

環境ホルモンとは?
生体の成長、生殖や行動にかかわるホルモンの作用を阻害する性質を持ち、生体に障害や有害な影響を引き起こす化学物質のことを環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)と言います。ポリ塩化ビフェニール(PCB)やDDT、ダイオキシン類などが代表的ですが、有機リン系の殺虫剤には環境ホルモンと同じ作用を持つと疑われる薬剤が多く存在します。

 

ポストハーベスト農薬の残留基準値

ポストハーベスト農薬として使用されているマラチオン(マラソン)の残留基準は小麦で8.0ppmです。1991年以前は残留基準が設定されていませんでした。この8.0ppmという基準値は小麦輸出国(アメリカ、カナダ、オーストラリア)と同じ基準値です。「日本の安全基準は貿易障壁だ」「農薬の残留基準の緩和を」と言うアメリカの強い要求を飲まされて決定した基準値と言えます。外交問題を解決するために、国民の健康が犠牲になっています。

日本がTPPに参加すれば、食料自給率はさらに大幅に低下し、輸入食料品が食卓にあふれるような状況になるのではないかと懸念されます。農薬の残留基準などの食品の安全基準に対して、大幅な引き下げ要求が突きつけられると予想されます。

ポストハーベスト農薬を使用する理由

輸入小麦で検出されるマラチオン(マラソン)、フェニトロチオン(スミチオン)などの有機リン系の殺虫剤は国産の小麦粉では検出されません。したがって、小麦粉製品から検出される農薬はすべて輸入小麦に残留するポストハーベスト農薬であると言えます。国内での農薬の使用目的は病気や害虫から作物を守るためですが、ポストハーベスト農薬は作物への残留を目的として使用されます。

熱帯地域を通って輸送

輸入穀物の農薬残留量はアメリカ南部ルート、オーストラリアルートのものが高くなる傾向があります。これらの地域の小麦は熱帯地域を通過して輸送されて来るからです。船に積載されたドライコンテナの内部は、熱帯地域通過時には、日中は温度が50~60℃、湿度が90%以上になるというデータがあります。農産物の性質から見て、長距離輸送や長期間輸送は本質的に困難なのです。

ADI(一日摂取許容量)とは?
残留農薬基準はADI:Acceptable Daily Intake「一日摂取許容量(mg/kg体重/日)」をもとにして設定されます。人が一生涯にわたって毎日食べ続けたとしても、なんらの毒性も認めないとされる量です。しかし、これは1種類の農薬だけを摂取した場合の話であり、複数の農薬を摂取した場合は考慮されていません。また、複数の農薬の複合的な影響については研究結果が明らかにされていません。さらに、小麦粉製品の摂取量の多い人や妊婦・乳幼児などへの影響も明らかにされていません。ADI値自体の算出方法に問題があるとの指摘もあります。

 

残留農薬の表示義務

先日、スーパーに行って、アメリカ産輸入グレープフルーツの売り場を見たところ、「イマザリル、OPP-Na、TBZ」と小さく表示してありました。輸入バナナの売り場には何も表示してありません。これはどういうことかと調べてみました。その結果、わかったことは残留農薬には表示義務はないということです。それではなぜポストハーベスト農薬である「イマザリル、OPP-Na、TBZ」が表示されていたのでしょうか? それは、これらの薬剤は食品添加物とみなされているからです。食品添加物には表示義務があります。

ポストハーベスト農薬は農薬?食品添加物?

グレープフルーツに残留している同じ物質がアメリカでは農薬であり、日本では食品添加物となります。農薬なのか食品添加物なのか非常にわかり難くなっています。1977年にはOPP-Naが、1978年にはTBZが食品添加物として認可を受けています。(使用基準はともに柑橘類に対し10ppm)この結果、ポストハーベスト農薬が残留した柑橘類が大量に輸入されるようになりました。この背景には「日米レモン戦争」と呼ばれたアメリカの強硬な要求がありました。

 

輸入農産物の不安

ポストハーベスト農薬は日本では使用が禁止されていますが、輸入品については禁止されていません。

食料自給率が40%以下の日本は海外からたくさんの農産物が輸入されています。
その中でポストハーベスト農薬が使用されている可能性があるものは小麦、大豆、米、とうもろこし、オレンジ、レモン、バナナ、さくらんぼ、じゃがいも、かぼちゃ、ナッツ類などです。

四季を通じて安くて、品質の良い食品を求める日本には世界中から食料品が輸入されます。地産地消が望ましいと言われますが、現実はその反対です。

外国の農産物がスーパーの店頭で気軽に買い求めることができる時代になりましたが、そこには、我々の健康に悪影響を与える大きな問題があることを忘れてはならないと思います。

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